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疎遠な親に借金があるか不明…相続放棄に備えて生前から準備した事例

2026.07.16

今回は、30年以上連絡を取っていなかった父親が末期がんであることを市役所から知らされ、将来の相続についてご相談いただいた事例をご紹介します。

亡くなった方と長年疎遠だった場合、どのような財産を持っているのか、借金や保証債務が残っていないかを把握できないことがあります。

特に、事業をしていた方の相続では、事業上の借入れや連帯保証など、ご家族が把握していない債務が残っている可能性もあるため、相続発生前から対応方針を整理しておくことが重要です。

親が生きているうちに相続放棄はできる?

結論として、親が存命中に、将来の相続についてあらかじめ「相続放棄」をすることはできません。

相続放棄は、親が亡くなり相続が発生した後に、家庭裁判所へ申述することで行う手続きです。

ただし、親と長年疎遠で、預貯金や不動産などの財産状況だけでなく、借金や保証債務があるか分からない場合には、生前から相続放棄に必要な手続きや書類、相続発生後の対応方法を確認しておくことができます。

相続放棄には原則として「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」という期限があります。親が亡くなった後に慌てて調べ始めるのではなく、借金などの不安がある場合には、事前に専門家へ相談し、対応方針を整理しておくことが重要です。

相続放棄の期限や手続きについて詳しく知りたい方は、相続放棄と限定承認についてもあわせてご覧ください。

亡くなった方と長年疎遠だった場合、どのような財産を持っているのか、借金や保証債務が残っていないかを把握できないことがあります。

特に、事業をしていた方の相続では、事業上の借入れや連帯保証など、ご家族が把握していない債務が残っている可能性もあるため、相続発生前から対応方針を整理しておくことが重要です。

ご相談の背景

ご相談者様は、お父様と約30年間連絡を取っておらず、現在の生活状況や財産状況について、ほとんど把握していませんでした。

そのような中、市役所から連絡があり、お父様ががんを患い、余命が長くない状況であることを知りました。

お父様とは長年にわたって疎遠な状態でしたが、過去には金銭を求められることもあり、亡くなる直前まで金銭に関する連絡が続いていました。

また、お父様は以前に事業を行っていたため、ご相談者様は次のような不安を抱えていました。

  • ・事業上の借入金が残っているのではないか

  • ・知らないところで連帯保証人として扱われているのではないか

  • ・父親が亡くなった後に、債権者から請求を受けるのではないか

  • ・プラスの財産よりも借金の方が多いのではないか

ご相談者様としては、お父様が亡くなった後に財産や債務を引き継ぐ意思はなく、「相続が発生したら、できるだけ早く相続放棄をしたい」というご希望でした。

ご相談時の課題

今回のご相談では、主に次のような課題がありました。

  • ・お父様と約30年間連絡を取っていなかった

  • ・お父様の預貯金や不動産などの財産状況が分からなかった

  • ・借入金や事業上の債務が残っている可能性があった

  • ・連帯保証に関する責任を負う可能性を心配されていた

  • ・相続発生後、何をすればよいのか分からなかった

  • ・相続放棄の期限に間に合うよう、早めに準備する必要があった

相続放棄は、お父様が存命中にあらかじめ成立させることはできません。相続が発生し、ご自身が相続人になったことを知った後に、家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

また、相続放棄の申述は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」に行う必要があるため、相続発生後に速やかに対応できる準備が必要でした。

当事務所が行ったサポート

1.家族関係とこれまでの経緯を整理

まずは、ご相談者様とお父様との関係や、これまでの連絡状況について詳しく伺いました。

長年疎遠だった理由や、過去の金銭的なやり取り、お父様が行っていた事業の内容などを整理し、相続発生後に想定されるリスクを確認しました。

疎遠な親族の相続では、財産状況だけでなく、これまでの家族関係や連絡の経緯も踏まえて対応方法を考える必要があります。

2.借金や保証債務がある場合のリスクを説明

お父様の事業上の借入れや連帯保証について、ご相談者様が把握している範囲で情報を整理しました。

仮に、お父様自身が事業上の借金や保証債務を負っていた場合、その債務が相続の対象となる可能性があります。

一方で、ご相談者様自身が知らないうちに連帯保証人とされていたという問題については、契約書の内容や署名・押印の状況などを個別に確認する必要があります。

将来、金融機関や債権者から請求を受けた場合には、グループ内の弁護士が契約関係を確認し、その後の対応についても相談できることをご案内しました。

3.相続発生後の対応を事前に整理

相続が発生した後、慌てずに行動できるよう、必要となる手続きと流れを事前に整理しました。

具体的には、次のような点をご説明しました。

  • ・相続が発生した時のために相続放棄の手順を説明する

  • ・相続人を確認するための戸籍を収集する

  • ・財産や債務に関する資料を保管する

  • ・債権者から届いた通知や請求書を捨てずに保管する

  • ・相続財産を処分したり、安易に債務を支払ったりする前に専門家へ相談する

  • ・相続放棄を希望する場合は、速やかに弁護士へ連絡する

あらかじめ対応手順を確認することで、お父様が亡くなった直後から、相続放棄に向けた準備を開始できる状態を整えました。

4.グループ弁護士と連携できる体制を準備

相続放棄の申述は家庭裁判所で行う手続きです。

そのため、当事務所でご相談内容や家族関係を整理したうえで、お父様が亡くなられた際には、速やかにグループ内の弁護士へ引き継げる体制を整えました。

また、将来的に債権者から請求を受けた場合や、連帯保証に関する争いが発生した場合についても、弁護士が継続して対応できることをご説明しました。

解決結果

今回のご相談では、お父様が亡くなる前の段階から、相続放棄を希望する理由や、借金・保証債務に関する不安を整理することができました。

相続放棄は相続発生後でなければ手続きを開始できませんが、事前に相談しておくことで、相続発生後に何を確認し、誰に連絡し、どのような手続きを進めるべきかが明確になりました。

また、行政書士だけでなく、グループ内の弁護士と連携して対応できる体制を整えたことで、相続放棄だけでなく、将来的な債権者対応や保証債務に関する問題についても相談できる状態となりました。

ご相談者様からは、「父が亡くなった後にどうすればよいか分からず不安だったが、事前に流れが分かって安心した」とのお話をいただきました。

今回の事例のポイント

相続放棄は、相続が発生してから検討するものと思われがちですが、借金の可能性がある場合や、長年疎遠な親族の相続では、生前から専門家へ相談しておくことも有効です。

特に、次のような方は早めのご相談をおすすめします。

  • 親や親族と長期間連絡を取っていない

  • 亡くなった方の財産状況が分からない

  • 事業をしていたため、借入金が残っている可能性がある

  • 保証人や連帯保証人に関する不安がある

  • 相続する意思がなく、相続放棄を検討している

  • 相続が発生した後、すぐに手続きを始めたい

事前に状況を整理しておくことで、相続発生後の限られた期間内に、落ち着いて対応しやすくなります。

疎遠な親に借金があるか分からない場合の注意点

親と長期間連絡を取っていなかった場合、「財産がどれくらいあるのか分からない」「借金が残っているかもしれない」と不安になる方も少なくありません。

特に、亡くなった親が事業をしていた場合や、過去に借入れをしていた場合には、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や保証債務についても確認する必要があります。

1.借金も相続の対象になる

相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけを引き継ぐわけではありません。亡くなった方が負っていた借入金などの債務も、原則として相続の対象となります。

そのため、「親とは疎遠だったから財産について何も知らない」という場合でも、相続が発生した後は、できるだけ早く財産と債務の状況を確認することが重要です。

2.親が負っていた保証債務にも注意する

亡くなった親自身が事業上の借入れについて保証人や連帯保証人になっていた場合、その保証債務が相続に影響する可能性があります。

特に事業をしていた方の場合、家族が把握していない借入れや保証契約が存在することもあります。金融機関や債権者から通知が届いた場合には、内容を確認せずに放置したり、安易に支払ったりせず、まず専門家へ相談することをおすすめします。

3.相続財産を処分する前に相続放棄を検討する

借金が多い可能性があり、相続放棄を検討している場合には、亡くなった方の財産を処分したり、使用したりする前に注意が必要です。

相続財産の処分などを行った場合、その行為の内容によっては相続を承認したものとして扱われ、相続放棄が認められない可能性があります。

「相続放棄をするかまだ決めていない」という段階でも、預貯金の解約や不動産の売却、借金の支払いなどを行う前に専門家へ相談しておくと安心です。

4.相続放棄には原則3か月の期限がある

相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。

親と疎遠だった場合、亡くなったことをすぐに知らないケースや、相続発生後も財産や借金の状況が分からないケースがあります。

そのため、親に借金がある可能性がある場合や、相続する意思がない場合には、相続が発生したことを知った段階で早めに専門家へ相談し、相続放棄を含めた対応を検討することが重要です。

5.借金があるか分からなくても早めに相談する

「借金があると確定してから相談しよう」と考える必要はありません。

親と長年疎遠で財産状況が分からない場合や、過去に事業をしていて借入れや連帯保証の可能性がある場合には、借金の有無が分からない段階から相談できます。

相続放棄をする可能性があることを踏まえて、相続発生後にどのような資料を確認し、どのような順番で手続きを進めるべきかを事前に整理しておくことが大切です。

相続放棄について詳しくは、相続放棄と限定承認についてをご確認ください。

疎遠な親族の借金や相続放棄でお困りの方へ

長年連絡を取っていなかった親族が亡くなった場合、預貯金や不動産などの財産だけでなく、借入金や保証債務が判明することもあります。

「借金があるか分からない」「相続放棄をした方がよいのか判断できない」「債権者から請求された場合の対応が不安」という方は、相続財産に手を付ける前に専門家へご相談ください。

所沢相続遺言サポート窓口では、相続人や財産状況の整理から、グループ弁護士と連携した相続放棄や債権者への対応まで、状況に応じてサポートいたします。

所沢市周辺で、疎遠な親族の相続、借金の相続、保証債務、相続放棄についてお困りの方は、お気軽にご相談ください。

この記事の執筆者
むさしの相続行政書士事務所 代表 宮野敦子
保有資格社会保険労務士/行政書士
専門分野相続手続き・遺言作成・生前対策
経歴2003年 社会保険労務士試験合格/2019年 武蔵野合同法律事務所入所/2020年 行政書士試験合格・登録
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