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こんな時どうする?相続人が行方不明の場合

相続人の中に不在者がいる場合の相続手続き

相続人の中に、長期間行方不明の方(不在者)がいる場合でも、不在者を除いて、相続手続きを行うことはできません。
相続人の中に不在者がいる場合、不在者財産管理人の選任申立てを行い、不在者財産管理人を含めた相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
不在者財産管理人の選任申立ては、不在者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
不在者の最後の住所地が海外の場合には、東京家庭裁判所に申し立てることになります。
但し、被相続人の財産が、不在者の最後の住所地と全く別の場所にある場合、不在者の最後の住所地の家庭裁判所で手続きを行うよりも、被相続人の財産の所在場所で手続きを行った方が合理的なケースもあります。
このような場合は、予め、申立裁判所に確認をとった上で、通常の必要書類の他に、上申書や調査報告書等を添付して申立てを行います。

または、もともとの管轄裁判所に移送申立書を添付して申立てを行う方法もあります。

不在者財産管理人の選任申立てに必要な書類

被相続人の相続手続きの前提として行う、不在者財産管理人選任申立の標準的な必要書類は、次のとおりです。

1. 不在者の戸籍謄本
2. 不在者の戸籍附票
3. 不在であることを証する資料
4. 不在者の財産に関する資料
5. 被相続人の戸籍謄本
6. 申立人の戸籍謄本
7. 被相続人の財産に関する資料(必須ではありません。)
8. 相続関係説明図
9. 遺産分割協議案(必須ではありません。)
10. 収入印紙800円
11. 予納切手(財産額、管理期間、職務内容によります。通常、15万円~100万円。)

不在者財産管理人の選任申立を行う場合、管理人候補者を予め推薦することが可能です。
当事務所では、申立代理人以外の弁護士を管理人候補者として推薦して申立てを行っております。
一般の方を候補者として推薦する場合には、候補者の住民票が別途必要となります。

※候補者が必ず管理人として選任されるとは限りませんので、ご注意下さい。

不在者財産管理人選任申立を行う場合、裁判所により異なりますが、通常30万円~50万円(100万円かかることもまれではありません)の予納金を納める必要があります。

なお、予納金は、不在者財産管理人報酬に充当するための担保的な性質があります。
そのため、不在者財産管理業務遂行の結果、不在者財産管理人報酬を弁済するに十分な管理財産を形成でき、弁済すべき債権も見当たらないような場合には、不在者財産管理人に償還請求するなどにより、予納金が返還される可能性も考えられます。
予納金額については、申立て後、家庭裁判所の裁判所書記官から連絡があり、納付書が送付されてきますので、一括納付します。
不在者財産管理人選任申立てから選任の審判までに要する期間は1~2か月が目安です。

不在者の最後の住所地が海外の場合

不在者の最後の住所地が海外の場合、外務省(外務省領事局海外邦人安全課(電話 03-3580-3311 内線 2851))で、「所在調査申込」を事前に行う必要があります。
外務省の「所在調査申込」は、全て、郵送手続きで行います。
この手続きは、外務省が現地で不在者の調査を行う訳ではなく、在外公館で保有している資料で、不在者の住所が判明するかどうかを、書面上でチェックする手続きです。
不在者が在外公館に連絡先等を届け出ている場合、この調査で連絡がつく場合もありますが、連絡先を届け出ていない場合には、所在が判明しなかった旨の回答が郵送されてきます。
申込みから回答までに数か月かかる場合があります。

失踪宣告

不在者(従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者)につき、その生死が7年間明らかでないとき(普通失踪)、又は戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後、その生死が1年間明らかでないとき(危難失踪)は、家庭裁判所は、申立てにより、失踪宣告をすることができます。
普通失踪の場合、家庭裁判所に失踪宣告を申立て、行方不明者を行方不明になった時から7年後に亡くなったものとみなしてもらうことができます。
この場合、行方不明者に子供がいれば、その子供が相続人となり、遺産分割協議に参加し、遺産を分割します(代襲相続)。

ただし、被相続人が亡くなった後に行方不明者が亡くなったとみなされた場合には、代襲相続は発生しません。
申立てをしてから失踪宣告まで1年ほどかかります。

認定死亡

失踪宣告に似た制度として、「認定死亡」というものがあります。
認定死亡とは、事故や災害などにより死亡したことは確実であるものの、遺体を発見できないという場合に、警察や海上保安庁など官公庁による死亡の報告によって、死亡したと認定して戸籍簿に「死亡」と記載する戸籍法上の制度です。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災における行方不明者については、死亡届に申出人の申述書等を添付し、これらの書面によって死亡が認定された場合、死亡届が受理されるという取扱いがなされました。
認定死亡により戸籍に死亡の記載がなされますと、相続が開始され、認定死亡した人が生命保険に加入している場合には、遺族は保険会社から死亡保険金を受取ることができます。

まとめ

不在者について不在者財産管理人を選任し、不在者財産管理人に参加してもらって遺産分割協議を成立させるという場合、通常、失踪宣告の場合に比して短期間で遺産分割協議の成立まで至ることができます。
もっとも、遺産分割協議により不在者財産管理人が一旦取得した不在者の財産(被相続人の遺産)について、不在者が後日現れない限り、いずれ何らかの処理をする必要があり、多くの場合、あらためて不在者について失踪宣告の申立てをし、失踪宣告の確定後に、不在者の相続人に分配する、あるいは、被相続人の相続人に再分配するといった処理が必要となります。
これに対し、不在者について失踪宣告がなされれば、法律上死亡したものとみなされることから、そもそも相続人ではなかったことになり、一回の手続きで終局的な処理を行うことができます。

また、失踪宣告が確定するまでには1年程度の期間を要するため、一旦暫定的であっても早急に遺産分割協議を成立させる必要があるような場合には、不在者財産管理人の選任を先行させることもあります。

当事務所の相続手続きサポート

相続手続きサポートとは

被相続人が遺言を残さずに亡くなった場合、残された相続人同士による話し合い(遺産分割協議)によって遺産の分け方を決めます。
遺産に不動産や株などが含まれる場合、どのように分配すればいいのかという問題が出てきます。

また、特定の相続人が取りまとめようとしたり、相続人だけで話し合いをしてしまうと不公平感が出て、紛争に発展してしまうケースもあります。
そして、紛争になってから弁護士を依頼すると、紛争になっていない事件での依頼よりも高い費用がかかってしまいます。
当事務所の相続手続きサポートサービスは、このような場合に弁護士が第三者の立場でアドバイスを行うサービスです。
あくまでも特定の相続人の味方ではなく公平な第三者の立場として、「法律的にはこうなっています」「この遺産の分け方だと後々このような問題が出てくる可能性があります」といったアドバイスをさせていただきます。
第三者である弁護士がアドバイスを行うことで、法律的にも感情的にも円満な遺産分割を行い、争いに発展したときに必要となる費用を節約すると同時に、相続人同士の関係が悪化することを防ぎます。
具体的には、弁護士が、公平中立な立場で相続人全員に、財産目録等の情報を開示し、法定相続分による平等な遺産分割協議書案(不動産を売却して、売却代金を相続人の間で公平に分割するなどの内容)や送付文(①受任の経緯、②公平中立な立場として手続きをサポートすること、③弁護士費用については平等にご負担いただくこと、④利害対立が顕在化して調整が困難になった場合は、調整役を辞任し、以降いずれの当事者の代理人にもならないことなどを説明するもの)を作成送付することからスタートします。

詳しくは「相続手続きサポートサービス」をご覧ください。

交渉をこじらせる前の早期のご相談がおすすめです。
特に、相続税の申告期限の問題もある方については、お早めにご相談ください。

当事務所の相続手続き丸ごとサポート

相続手続き丸ごとサポート(遺産整理業務・遺産承継業務)とは

相続に関する手続きは、年金手続き、保険金の請求、預金口座や不動産の名義変更など多岐にわたります。
これらの手続きはそれぞれ窓口が異なっており、通常は相続人の方が各窓口に対して、個別に手続きをしなくてはなりません。
遺産整理業務とは、弁護士が、遺産管理人(遺産整理業務受任者)として相続人様の窓口となり、相続に関する煩雑な手続きを丸ごとサポートするサービスです。
具体的には、相続財産承継業務委任契約書(遺産整理委任契約)を締結させていただき、戸籍関係書類の取得・相続関係説明図の作成、相続財産の調査・目録の作成、遺産分割協議書の作成、相続財産の名義変更や換価処分・換金手続(不動産の相続登記、預貯金の解約・払出し、有価証券の名義変更・売却、不動産の売却等)、生命保険金の請求を代行させていただきます。

また、年金などの請求、相続税の申告、不動産の運用・売却、自動車の名義変更、さらにはクレジットカードの解約、NHK・各種公共料金の名義変更・解約などの数十種類もの細かい手続きについてもご相談に応じ、アドバイスいたします。

さらに、相続税の申告が必要な場合はご希望により税理士への依頼を代理・代行させていただきます。

詳しくは「相続手続き丸ごとサポートサービス」をご覧ください。

この記事の執筆者
むさしの相続法務事務所・武蔵野経営法律事務所 代表 加藤 剛毅
保有資格弁護士 埼玉弁護士会 第31907号
専門分野相続案件・不動産案件・中小企業法務
経歴2002年 司法試験合格/2014年 さいたま家庭裁判所家事調停官任官就任/2018年 当事務所開設
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