成年後見の申立て
成年後見制度を利用するには、本人の住所地の家庭裁判所に補助・保佐・後見の開始の申立、または、任意後見監督人選任の申立をする必要があります。
法定後見の場合、申立ての準備から成年後見人として行動できるようになるまで、手続き期間として通常3~6ヶ月程度かかります(多くの場合、申立てから成年後見等の開始までの期間は、4か月以内)。
選任申立後、家庭裁判所が親族(推定相続人)への照会作業、本人調査(面接)、医師による鑑定が行われます。
審判が下りた後、審判確定まで2週間かかり、その後、法務局で取得できる「後見登記事項証明書」に反映されることになるためです。
ただし、認知症等が重度の方の場合、あるいは判断能力の低下が軽い方の場合、医師による鑑定が省略されやすくなります。
また、親族照会すべき親族が特にいない場合も期間が短縮され、数週間~2ヶ月で審判が下りることもあります。
一方、任意後見の場合は、既に締結した任意後見契約に基づくものですので、通常、申立て後1ヶ月程度で任意後見監督人選任審判が下り、任意後見契約が発効します。
1.後見人の役割
①財産管理
・預貯金による入出金のチェックと必要な費用の支払
・所有不動産の管理
・後見費用捻出のための不動産などの売却
・管理の必要上、必要であれば訴訟行為を行うこと
・確定申告及び納税
②身上監護
・治療、入院に関する病院との契約
・健康診断などの受診手続き
・住居の確保(賃貸借契約)
・施設などの入退所に関する手続き
・施設や病院の処遇を監視し、本人に不利益がある場合は、改善要求
・要介護認定の手続きや介護サービス事業者と介護サービスの契約
・介護サービスが契約どおりか確認し、異なる点がある場合は、改善要求
・教育・リハビリに関する契約
・訪問などにより本人の状況に変更がないか「見守り」を実施
③家庭裁判所への報告
・1年に一度の収支報告
・財産を処分する場合や、財産管理の方針を大きく変更するとき(遺産分割・相続放棄)
・本人の入院先・氏名・住所・本籍、又は成年後見人の住所・氏名が変わったとき
・療養看護の方針を大きく変えるとき
・本人死亡時の成年後見登記申請
・財産目録の作成
・財産の引渡し
・終了報告
2.申立てに必要な書類と費用
成年後見制度を利用するには、本人の住所地の家庭裁判所に申立てをする必要があります。
申立に必要な書類と費用はおよそ以下のとおりです。
裁判所により異なる場合がありますので、詳細は、申立て先裁判所にご確認ください。
・申立書
・申立人の戸籍謄本1通(本人以外が申立てるとき)
・本人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記されていないことの証明書または登記事項証明書、診断書 各1通
・成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票の写し、身分証明書、登記されていないことの証明書 各1通(候補者がいる場合)
(管轄裁判所によって、取り扱いが異なります。)
また、費用としては以下のものがかかってきます。
1)収入印紙 1件800円
2)切手 3000円~4000円(裁判所によって異なります)
3)登記嘱託手数料 2600円
4)鑑定費用(裁判所が必要だと判断した場合のみ。9割は2ヶ月以内に鑑定手続きが終了。)鑑定を要する場合は、鑑定費用が5~20万円(通常は、5~10万円)かかります。