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住宅取得等資金の特例

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、子や孫が、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります(以下、「住宅取得等資金贈与の特例」といいます。)。

なお、住宅取得等資金贈与の特例は、暦年贈与の基礎控除110万円や相続時精算課税制度の特別控除2500万円と併用できます。

また、通常の相続時精算課税制度には贈与者である父母又は祖父母の年齢がその年1月1日現在60歳以上でなければならないという制限があるところ、令和3年12月31日までに限り、住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例として、贈与者が60歳未満でも相続時精算課税制度を選択できる扱いになっています。

1.特例を受けるための適用要件

以下の国税庁ホームページをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

2.住宅取得等資金贈与の特例の適用を受けるための手続き

住宅取得等資金贈与の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、住宅取得等資金贈与の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に戸籍の謄本、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。

3.住宅取得等資金贈与の特例の適用を受ける前の注意点の例

(1)住宅ローンの返済のための住宅取得等資金の贈与は適用外

この制度は、あくまでも、先に資金を取得し、その取得したお金を使って住宅を新築等した場合に適用できるしくみです。
そのため、先にローンを組み、その支払に充てるために父母や祖父母から住宅取得等資金をもらっても、この制度は適用できません。

(2)父母や祖父母から居住用の不動産(現物)の贈与をされても適用外

この制度は、あくまでも、住宅を取得するための「資金(お金)」について適用することができるしくみです。
不動産そのものの贈与の場合には適用できません。

(3)配偶者の親から贈与された住宅取得等資金は適用外

配偶者の親から贈与を受けた場合、配偶者の親と自分とは直接の親子関係でないため、この制度を適用できません。

(4)祖父と父など複数の方から住宅取得等資金の贈与を受けた場合

祖父と父の両方から住宅取得等資金の贈与を受けた場合、それぞれの金額に対し限度額があるわけではなく、贈与を受けた受贈者1人に対して非課税限度額が決められていることに注意してください。

(5)家なき子特例との関係に注意

自分が亡くなったときに、配偶者か同居親族がいずれもおらず、住宅取得等資金贈与の特例の適用を受ける子や孫に家を継がせたいと考えており、そのために小規模宅地等の特例を使わせたい場合(いわゆる、家なき子特例)、その子や孫が「亡くなった人と別居していて、かつ、3年以上自分の持家に住んでいない親族」、すなわち、賃貸暮らしや社宅暮らしをしている必要があります。
そもそも、住宅取得等資金の贈与をすべきかどうかよく検討してください。

 

この記事の執筆者
むさしの相続法務事務所・武蔵野経営法律事務所 代表 加藤 剛毅
保有資格弁護士 埼玉弁護士会 第31907号
専門分野相続案件・不動産案件・中小企業法務
経歴2002年 司法試験合格/2014年 さいたま家庭裁判所家事調停官任官就任/2018年 当事務所開設
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