初めての方へ 無料相談はこちら
無料相談実施中

04-2936-8666

受付時間平日 9:00~20:00

公正証書遺言の作成手順とポイント

公正証書遺言とは、公証人が遺言者の口述をもとに、遺言書を作成し、その原本を公証人が保管するもので、最も安全で確実な遺言書です。
口述の際には、2名以上の証人立会いが必要です。
公証人が作成した遺言書に、遺言者、証人、公証人が署名・押印すれば、公正証書として認められます。

1.公正証書遺言の作成手順

(1)誰に、どの財産を、どれだけ相続させるのかあらかじめ決めておきましょう 。
(2)証人を2人以上決めましょう。
※推定相続人、未成年者、公証人の配偶者・四親等以内の親族、書記および使用人などは証人の資格がありません。
(3)公証人と日時を決めましょう。
公証役場に依頼し、出向けない場合、出張してもらうことも可能です。

なお、出張の場合、公証役場で遺言書を作成する場合よりも、基本手数料が1.5倍になったり、日当(半日であれば1万円、1日であれば2万円)、交通費の実費がかかったりするなど、費用がかかります。

(4)必要な書類を集めましょう。

ⅰ)遺言者の印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内)、戸籍謄本(遺言者と相続人との続柄がわかるもの)
ⅱ)住民票(相続人以外の人に遺贈する場合)、法人の登記簿謄本(会社等の法人に遺贈する場合)
ⅲ)財産特定のための不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書
ⅳ)預金通帳のコピー
ⅴ)証人の住民票などが必要です。

(5)遺言の原案を作成しましょう。

作成された原本は、原則として20年間公証役場に保管されます。
20年の期間が経過した後でも、特別の事由により保管の必要がある場合は、その事由がある間は原本は保管されます。
実務の対応としては、20年経過後も原本を保管しているのが通常です。
事前に公証役場に確認しておくのがよいでしょう。
公正証書遺言をお勧めする理由は、紛失、偽造を防止できること、法的に間違いのないものが作成できること、遺言執行がスムーズにできることです。

また、公正証書遺言は、日本公証人連合会が運営する検索システムに登録され、全国どこの公証役場でも検索でき、遺言公正証書の有無は容易に確認できるようになっています。
遺言者の生前は、公正証書遺言の閲覧、謄本の請求は、遺言者本人以外はできません。

2.ご自身で公正証書遺言を作成するときにかかる費用

①必要書類の交付手数料、②遺言公正証書の作成手数料、③遺言書正本謄本の交付手数料、④証人手数料が必要です。

(1)必要書類の交付手数料

遺言の内容に応じて、上記記載の必要書類を公証役場へ提出する必要があります。
必要書類の取得費用の目安としては数千円程度です。

(2)遺言公正証書の作成手数料

費用の算出方法

①遺言により財産を受け取る人ごとに、受け取る財産の価額を算出します。※1
②受け取る財産の価額に応じた基本手数料を合計し、遺言書全体の手数料を算出します。※1
③遺言書に記載される財産が1億円以下の場合には、②で算出した手数料に1万1000円を加算します。※2
④遺言書の枚数によって手数料を加算します。(3000~5000円程度)

※1 遺言公正証書の作成手数料は、遺言により相続させ又は遺贈する目的財産の価額をもとに計算します。価額は、公証人が証書の作成に着手した時を基準として算定します。不動産の場合は直近の固定資産評価額(借地の場合は路線価と借地権割合で算出)、預貯金は現在の残高、株式その他の有価証券や出資金はその価額によります。価額が算定不能な場合の手数料は1万1000円とします。各相続人・各受遺者ごとに、相続させ又は遺贈する財産の価額により目的財産の価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。

例えば、総額1億円の財産を妻1人に相続させる場合の手数料は、4万3000円です(他に下記の遺言加算があります。)が、妻に6000万円、長男に4000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は4万3000円、長男の手数料は2万9000円となり、その合計額は7万2000円となります。

※2 1通の遺言公正証書における目的財産の価額の合計額が1億円までの場合は遺言加算として、1万1000円を加算します。

※3 祭祀主宰者の指定がある場合は、1万1000円を目的財産の価額による基本手数料に加算します。

※4 遺言者が病気等で公証役場に出向くことができない場合には、公証人が出張して遺言公正証書を作成します。この場合の手数料は、遺言加算を除いた目的財産の価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となり、これに、遺言加算手数料を加えます。

※5 遺言書は、通常、原本、正本、謄本を各1部作成し、原本は法律に基づき役場で保管し、正本と謄本は遺言者に交付しますが、原本についてはその枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算されます。

※6 この他に、旅費(実費)、日当(1日2万円、4時間まで1万円)が必要になります。

※7 作成された遺言公正証書の原本は、公証人が保管しますが、保管のための手数料は不要です。

(3)遺言書正本謄本の交付手数料

遺言書の正本と謄本の交付のため1枚につき250円の手数料が必要となります。

(4)証人手数料

遺言公正証書を作成するには、証人2人以上の立会いが必要です。
証人を自分で手配する場合はこの手数料は不要です。
謝礼については遺言者と証人との間で自由に取り決めて構いません。
公証役場で証人の紹介を受けた場合、証人1人につき6000円程度の手数料が必要です。

この記事の執筆者
むさしの相続法務事務所・武蔵野経営法律事務所 代表 加藤 剛毅
保有資格弁護士 埼玉弁護士会 第31907号
専門分野相続案件・不動産案件・中小企業法務
経歴2002年 司法試験合格/2014年 さいたま家庭裁判所家事調停官任官就任/2018年 当事務所開設
専門家紹介はこちら